カリモク家具 KARIMOKU RESEARCH CENTERで2つのエキシビション開催

カリモク家具(愛知県東浦町、加藤正俊社長)は、東京都港区のKARIMOKU RESEARCH CENTERで2025年1月11日(土)~3月28日(金)までの間、新たなテーマのもと、2つのエキシビションを開催する。

KARIMOKU RESEARCH が発表する2回目の「Survey」では、ロサンゼルスを拠点に活動するデザインスタジオのWAKA WAKA をリサーチャーに迎え、テーマ「NEW TRADITION」を掲げた。「Tradition(伝統)」に焦点を当てた今回のテーマでは、WAKA WAKAと共にカリモク家具の過去のコレクションや日本の家具のアーカイブをリサーチし、日本の伝統的な生活スタイルを、WAKA WAKA が拠点にする欧米文化の視点を交えながら再解釈のうえ、新たなスタイルを提案する。

展示は、KARIMOKU RESEARCH CENTER の1Fの「THE ARCHIVE」にて行われ、2つの文化が持つ特長を融合させた新しい家具やホームオブジェクトと共に、新しい生活スタイルを紹介。会場ではWAKA WAKA が過去にデザインしたオリジナルの茶室をカリモク家具の技術で再現し、会期中には茶室を使用したティーセレモニーも予定する。

一方、B1Fの「THE STUDY」では、ニューヨークを拠点に活動するデザインスタジオのLichenとのコラボレーションの展示を開催。Lichen は、戦後の日本の文化様式から生まれたカリモク家具のアーカイブを紐解き、新しい表情のアイテムへと生まれ変わらせた。

2つのデザインスタジオとの展示を通して、「Survey 01:NEW TRADITION」では、過去を振り返りつつ、未来の可能性を模索する。


以下、展示会コンセプト(カリモク家具発表)

INTRODUCTION OF THE EXHIBITION
「Survey 01 : NEW TRADITION」

近年、「Tradition(伝統)」という概念は、アートや文化活動をはじめとする様々な分野で注目を集めています。しかし、「伝統を伝統たらしめるものとは何か?」また、「なぜそれが私たちにとって重要なのか?」といった問いが浮かぶことも少なくありません。 KARIMOKU RESEARCHでは、新たなテーマに『Survey 01 : NEW TRADITION』を掲げ、これらの問いに深く向き合うと共に、「伝統とは何か?」という根本的な議題と、伝統と未来への革新との関係性を探求します。
WAKA WAKA の創作活動や、同時開催のプログラムとして展示される Lichen の作品を通じて、「伝統」という言葉が内包する本質を再考し、また、新たな価値やビジョンを模索し、未来を担う次世代にとって「新しい伝統」となり得るもの、さらに伝統を守るために必要とされる大胆な変革について、私達の『Survey』の結果や洞察を提示します。さらに、伝統を継承してきた人々との対話を通じて、伝統を守りつつ進化させるための最適な方法も考究します。
『Survey 01 : NEW TRADITION』では、カリモク家具が受け継いできた伝統を再評価しつつ、現代の暮らしを見つめ、未来の姿を描き出します。


ABOUT THE EXHIBITION AND OBJECTS
『KARI KARI MOKU MOKU WAKA WAKA』

伝統とは、日常生活の中で実際に活用することで本質との繋がりを感じ、初めてその重要性に気づきます。伝統は実践の連続であり、信念を宿し、独自の方法論を持つものです。時に心地よさを提供する一方で、違和感をもたらすこともあります。しかし、この違和感こそが、伝統に新たな生命を吹き込み、それを次世代へと繋ぐための重要な契機となるのです。
本展示は、ロサンゼルスを拠点に活動するWAKA WAKAをカリモク家具の工場へ招いたことから始まりました。彼らはカリモク家具が長年培ってきた卓越した技術や職人技とも言える技能に触れ、その視察の中で、和家具や日本の家庭用家具に古くから用いられてきたシルエットや意匠に新たな価値を見出しました。そしてこれらを基盤に、現代の視点で新しいデザインを生み出すことを目指しました。
特にWAKA WAKAが魅了されたのは、カリモク家具の高度な塗装技術と張り込みの技術です。本展示では、これらの技術を駆使して製作された19点のアイテムと、それによって生み出される新しいホームワールドをご覧いただけます。
日本の住まいにおける伝統的な家具は、戦後のアメリカの影響を受けながらも独自の進化を遂げてきました。それは、WAKA WAKAにとって原体験とも言える風景であり、深く印象に残るものでした。この古くからの日本の生活様式から生まれた家具たちに、現代の欧米の視点という新たな機能と意味を加え、新しい家具や様式を生み出すこと、それこそが伝統を守るだけでなく、未来に向けて継承していく1つの手段となるのです。


新たに解釈された日常の家具

日常の家具を再解釈し、新たなムード(感性や様式)を創り出す試みとして、このプロジェクトで“Atmospherizm(アトモスフィアリズム)” という新たなスタイルを提唱します。この言葉は、文字通り“Atmosphere” のから派生した造語であり、“Atmospherizm” が持つ空間のエネルギーやトーン、ムードといった要素に着目し、それらを再定義して新たな空気感を創造しようとする概念です。
アトモスフィアリズムがもたらす新しい空間では、これまでの日常があたかも新しい体験のように感じられ、そしてその体験から、既存のものを超越するエネルギーや活力が生み出されます。アトモスフィアリズムは単なる家具の再解釈に留まらず、空間全体にわたる新しい生き方や過ごし方の提案です。部屋を飾るインテリア、境界線としての仕切り、空間そのもの、窓や光、時間や反射といった要素を通じて、新たなトーンと体験を創り出します。


WAKA WAKAがデザインした茶室

会場となるKARIMOKU RESEARCH CENTER の1F「THE ARCHIVE」には、2023年のLA Design Festivalで発表された、WAKA WAKAによる茶室を展示します。この茶室は、千利休作と言われている国宝・妙喜庵「待庵」をインスピレーションにデザインされ、そのサイズも「待庵」とほぼ同スケールで製作されました。本展示では、カリモク家具の技術を使用し、2023年の展示作品とは異なるアプローチで、細部へもこだわった新たな作品としてお披露目します。
茶室は、亭主と客人とが直に心を通わせるための特別な空間です。外界から切り離された別世界で時間を共有するこの空間での体験と、WAKA WAKAとカリモク家具がこの展示のために作り上げた新しいホームワールドを重ねながら展示そのものを楽しんでもらえます。


同時開催プログラム 『Karimoku Re:issue by Lichen』

ニューヨークを拠点にヴィンテージ家具のセレクト販売からはじまったデザインスタジオ Lichenが、カリモク家具と手を取り合い、それぞれの文化を融合させた新たなプロジェクトをスタートさせます。
コンセプトは「 Karimoku Re:issue by Lichen」。カリモク家具の往年のソファに独自解釈を加え、新たな表情をもつ家具へと生まれ変わらせたソファを発表します。こ の ソファは、 KARIMOKU RESEARCH CENTER の B1F「THE STUDY」で展示され、リスニングラウンジという特別な空間が展開されます。空間には、80年代のカリモク家具のカタログなど、懐かしさを感じさせるアーカイブの要素を取り入れました。
ソファは人々にリラックスと安らぎのひとときを提供する家具です。このラウンジを訪れた人々は、ソファに腰掛けながら読書をしたり、音楽を聴いたり、空想に耽ったりと、思い思いの自由な時間をこの空間で楽しむことができます。その体験を通して、リラックスする時間が特別なものではなく、かつては日常の一コマであったことを思い出すきっかけとなるでしょう。
この空間はまた、訪れる人々に、 “今” という瞬間を楽しむことの大切さを気づかせる場でもあります。現代社会において「くつろぐ」という行為を新たな贅沢として再定義し、未来に向けた「新しい伝統」を紹介するプロジェクトとして、特別な体験を提供します。