
インド産アパレル、並びにインテリア向けのテキスタイル展である「第15回インドトレンドフェア」が、2025年1月15日から17日にかけての3日間、ベルサール渋谷ガーデンで開催された。主催は特定非営利活動法人 日本インド国際産業振興協会(東京都港区、ゴドガテ・プラシャント理事長)。後援はインド政府繊維省ならびに、在日インド大使館。

初日の朝、会場入り口そばで開会式典が行われた。テープカットセレモニーが執り行われた後、在日本インド大使館のシビ・ジョージ大使から開会の言葉が述べられた。「この3日間で、来場者はインド最高峰のアパレルデザインをはじめとし、同国が得意とする様々な繊維、すなわち綿やシルクなどのオーガニック製品に出会うことができる」と開催の意義を語った。
インドは現在、世界第5位のGDPを有する成長国家。人口の平均年齢は約28歳と若く、世界最大の労働人口を原動力に、数年以内にGDPランキング世界第3位となることが予測されている。その中で繊維産業は、GDPの約1割を担う主要なセクターであり、綿製品を中心に大規模な海外輸出が行われている。一方、日本は世界第3位の繊維製品輸入大国だが、インドはこのうちわずか1・3%のシェアにとどまっており、同国としては今後日本に向けて輸出強化を図る狙いだ。
また式典では、2月14日から17日にかけてインドのニューデリーで開催される国際テキスタイル展「Bharat tex 2025(バーラットテックス)」についての紹介も行われた。同展は22万平米の会場に、110を超える国と地域から5000社以上の企業出展を予定しており、12万人の来場を見込む大規模展。

会場には、アパレルを中心としたインドのテキスタイル企業85社が出展した。ヒマラヤ山羊からとれたパシュミナや、ウール、コットン、シルクなど多彩な素材の製品が並ぶ。なかにはインテリア製品向けのテキスタイルを取り扱う企業も出展していた。

SKオーバーシーズインダストリアルプライベートリミテッド社は、ナノユニバースブランド向けにスカーフ等を供給する企業だが、このほどインテリア雑貨向けのファブリックにも新たに進出。3日間で日本のバイヤーを探したい、と意気込みを見せた。

ジャイプールを拠点とするプリヴァインターナショナル社ではラグなどのインテリア製品を展示した。これらは全てブロックプリントと呼ばれる同国の伝統工芸でデザインされたものだ。ブロックプリントとは、手彫りの木製の型とインクを使って何度もインクを重ねていく手法。製品ごとに微妙な違いや多様性が生まれ、手工芸が盛んなインドならではの製品といえる。
また、同展はすべての出展企業がインド企業であるため、これまで言語面の障壁が課題視されてきた。解決策として今回展より、インフォアイ(東京都千代田区、背戸土井 貴之社長)によるソフト「キリコムプラス」が導入された。キリコムプラスでは、出展企業が各製品の説明を多言語で登録し、来場者が説明にアクセスできるQRコードを生成することができる。出展社、来場者ともに無料でソフトを利用することができるが、出展社が150点以上の製品を登録すると、月額3000円が課金される。
現時点では出展企業自らが日本語の翻訳文を用意する必要があるが、将来的にはAIを使って自動翻訳機能を搭載する予定だという。同社は長年にわたり、日本とインドのアパレル業界向けにITソリューションを提供してきた企業で、今回、同展との協業で同社の技術力を訴求して、顧客の新規開拓につなげたい考えだ。
(長澤貴之)