Shizuoka-Products Forum 2025開催 家具産地静岡の歴史と技術を展示

家具産地静岡の地域振興促進にむけ、Shizuoka-Products Forum 2025が、2月14日~16日の3日間開催された。主催者は静岡県経済産業部地域振興課。会場は東静岡駅にほど近いグランシップ(静岡市駿河区東静岡2-3-1)の9階および10階。

「しずおかプロダクツフォーラム」は、2024年の3月に創設され、静岡の地場産業の発展を目指した活動をおこなう。今回はその一環として、業界関係者から一般ユーザーまで幅広い層が、静岡の家具の歴史および技術に触れることができる企画イベントとして開催した。

プログラムは「見る、学ぶ」「聞く、つながる」「体験する」の3テーマで構成され、それぞれ展示及び開設、講演、ワークショップが実施された。プログラムのメインは、「見る、学ぶ」で、グランシップ10階の会議室において「静岡の家具の歴史・技術」の展示が行われた。

会場入口付近ではまず、「ポイント(1):静岡の家具の変遷」として、江戸時代の鏡台、明治および大正時代の鏡台、昭和以降の鏡台の展示品が置かれた。

「ポイント(2):個性的で斬新な家具」のエリアには、ノックダウン家具やキュリオケース、ミニチュア家具などの展示品が置かれ、それぞれ白井産業、塩川光明堂、松永工房などが展示協力した。

「ポイント(3):伝統的かつ色褪せない技術」では、素材加工の技術や挽物、指物、椅子張りなどの技術についての解説展示を行った。

「ポイント(4):県の先端研究の発表」では、工業技術研究所による研究発表がパネル展示された。

「ポイント(5):異業種との連携」および「家具のある暮らしを提案する職人の製品」では、自動車のシートやパーソナルチェア、木製車いすおよび家具工房職人によって手掛けられた家具が展示された。

同会場での解説・実演では、静岡県工業技術研究所の研究解説や、挽き物技術の解説、椅子張り実演、指物技術の解説や椅子のペーパーコード編み込みのプログラムが組まれた。

「聞く、つながる」では、開催初日にグランシップ9階で講演が行われ、リビングハウスの北村甲介社長が登壇。「衰退産業でも勝ち筋を見つけられる!」をテーマとした内容を語った。講演では同氏が展開するリビングハウスの事業内容などについて触れ、北村氏は「家具の業界内で講演することはあまりない。3代目としての経験や思考を皆さんとシェアする内容としたい」と冒頭で述べた。

講演では、マーケット縮小の中でどのように事業を伸ばしているかについて「挑戦と革新」をキーワードに、(1)自社の再定義、(2)自社の潜在価値の顕在化について触れた。「”家具屋”から”人生価値拡張業”として、人生の価値を拡張するお手伝いをしたいということで、ミッション、ビジョン、バリューなど、会社の価値観を整理していった。”日本を空間時間価値先進国へ”というミッションで、”未知案内戦略”として、いまだ知られていないブランドや商品を伝えるだけでなく、家電やアートの販売も行っている」とし、様々な企業とのコラボレーションによって、掛け合わせて物事を考えていく必要性を説いた。

「自社の潜在価値の顕在化」については、”くらしデザイン事業”で無形資産と有形資産の活用を行っているとし、無形資産では”地域未来創生事業”として店舗運営ノウハウを用いた店舗活性化支援などを行っている事例などが語られた。有形資産の”価値創造事業”では、全国の店舗で商品を紹介しPR、ブランディング、販促を支援している。マットレスのD2C企業やワークデスクの企画開発を手掛ける企業、家電製品開発の企業などの製品を、実際にリビングハウスの店頭で展示し、PRにつなげている。
北村氏は「当社が主に提供しているのは家具だが、私の思考としては家具屋だとは思っていない。当社は強みを活かして事業を拡張してきたが、これには”過去の自分を否定する”ことが大事であり、”時代を読む”、”外に目を向ける”といったように、他の産業から得る情報がヒントになることがある。外の知恵を採り入れないと、その企業は変わることができない。未来を描いて考えていくのが、企業の社長の仕事だ」と締めくくった。会場には業界関係者など多くの来場者がつめかけ、盛況となった。